「仕事ができない人がよく口にする、根本的に間違った批判があります」
そう語るのは、転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験を持つヘッドハンターであり、「現場」と「経営者」の両方の視点で、「圧倒的に活躍する人たち」と関わってきました。
その高野さんがベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた書籍『ベンチャーの作法』が刊行。発売たちまち重版し、“きれいごと”抜きの仕事論に、社員からは「ベンチャーにかぎらず全ての組織で役立つ!」、経営者からは「よくぞここまで書いてくれた!」と、SNSでも多数の感想が投稿されるなど異例の反響となっています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「口にすると無能判定される言葉」についてお伝えします。
経営者の判断を疑う人たち
いくつもの会社で従業員と面談をしてきたなかで、気づいたことがあります。
どんな会社にも、「変化を嫌う人」が必ずいるということです。
「また社長が変なことを言い出したんです」
経営者の考えについていけない。指示に納得できない。言葉にする、しないにかかわらず、そんな感情を何度も感じ取ってきました。
そして、こんな声も多数聞いてきました。
「信じられる経営者の下で働きたいんです」
経営者に「期待しすぎ」では?
ただ私は、こういった言葉を耳にするたびに、ある違和感を抱いていきました。
皆さん、経営者に対する「期待値」が高すぎませんか?
経営者とはいえ、所詮はみんなと同じ「人」です。
未来のことなんてわかるわけがありません。
判断を間違うことだって、当然あります。
そもそも今は論理的な判断で先を見通せる時代ではありません。
コロナや戦争といった突発的なリスクや、AIの登場といった技術革新など。誰も先のことはわからないなかで、経営者は決断しなくてはいけないのです。
経営者の判断を「正解」にするのが、
あなたの仕事
それに、論理的に考えてわかるようなことであれば、すでに他の人や企業が先行しています。
論理では導けない判断をするから、誰も辿り着いていない場所に行けます。
ですから、ときには論理やセオリーに反した行動も必要になってきます。
路線変更の理由や根拠を求め、陰から批判し、後ろ指を指す。経営者の選択や判断を「はたして正解なのだろうか?」と疑い、ジャッジする。
それが、先の見えない大海原で舵取りをする者に向けるべき態度なのでしょうか。
こんなことに時間を費やしていても、無駄になるだけです。
経営者の判断を信じて、全力で取り組み、その選択を「正解」にしていく。
これこそが、同じ船に乗った仲間として求められる作法です。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)