バレーノは日本の顧客の声や気持ちを取り切れていなかった

F:何度も引き合いに出して恐縮ですが、それはやはりバレーノの前例があるからでしょうか。基本はいいクルマなのに、バレーノは装備が日本向けとしては弱く、残念ながら販売が振るわなかった。「バレーノの二の舞いになるな」、と。

森:そうですね。バレーノは、お客様の声やお気持ちを取り切れていなかったというのが反省としてあったので、次はそれをキチンとやっていけばしっかり売れるだろう、という思いがありました。実は私、日本には入れていない2022年にフルモデルチェンジしたバレーノのチーフエンジニアとして、企画段階から入っていたんです。

 バレーノの前モデルは世界的に大ヒットだったのに日本での人気は今一つで、不本意ながら撤退してしまった。だからフルモデルチェンジの時は、「何とかこれを日本に入れられないか」と思いながら造っていったんです。

F:あれ?でも森田さんはフロンクスのチーフエンジニアじゃ……?

森:2代目バレーノとフロンクスの両方のチーフエンジニアを並行してやっていたんです。

森田氏バレーノとフロンクスのチーフエンジニアをインドで並行してやっていたという森田氏。働き者すぎる! Photo by A.T.

F:2車種のチーフエンジニアを同時並行、ですか?しかもインドで。

森:そうです、はい。

F:人使いが荒いなぁ……スズキ……。

スズキ広報 井門氏:ウチは決して荒くありません。誤解を生むような言い方はやめてください!