【謝罪の場面で】人を不愉快にさせる人は「とにかく謝る」だけ。感じのいい人は何と言って謝る?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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「とにかく謝る」はNG
「クレーム対応の極意って何ですか?」
会合などの自己紹介で、私がクレーム対応研修もしていると話すと、よく聞かれる質問です。
極意は数々ありますが、その中でも一つ挙げるなら、謝罪の仕方。
「何に対して謝っているのか」を明確にすること、つまり「限定謝罪」をすることだと思います。
多くの人は、クレーム対応の場面で「とにかく謝る」と考えがちです。
しかし、ただ「すみませんでした」「申し訳ありません」を繰り返すだけでは、相手からすると「逃げている」ようにも聞こえます。
私もまだ新人だったころ、「あなた詫び倒せばいいと思っていませんか? 私が何に不愉快になっているか、わかってます?」と痛いところを突かれた経験があります。
たとえば、商品の納期が遅れてしまった場合だとしたら、「納期が遅れ、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と具体的に対象を明確にして謝ることが重要です。
このように、納期に関する謝罪と相手にどんな思いをさせたかが明確であれば、お客様も「自分の不満が理解されている」と感じやすくなります。
「限定謝罪」を身につけよう
また、例えばホテルの予約時に「オーシャンビューの部屋」を希望していたにもかかわらず、チェックイン時に希望の部屋が用意できていなかったとします。
この場合ならば、「ご予約の際のご期待にそえず、たいへん申し訳ございません」と謝罪するのがよいでしょう。
ただ詫びるより、具体的に「オーシャンビュー」を希望していた点を明示して詫びているので、寄り添われている印象が残ります。
これは私の会社員時代のことです。
残業を終えて帰宅途中に立ち寄ったお弁当屋さんで、お弁当を持ち帰り、いざ家で蓋を開けてみたところ、料理のほとんどが焦げていました。
次に利用した際、その旨を伝えると、店員さんに「お仕事を終えて、楽しみにされていたお食事でしたのに、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」とお詫びをいただきました。
私が味わった「トホホ」という心の声を言い当ててもらったようで、その感じ良さに救われる思いがしたのを覚えています。
「限定謝罪」の大切さを、身をもって実感した体験でした。
(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。