米中の経済規模は
逆転しない可能性大

 これまで中国経済については、いつ経済規模が米国を追い抜くのかが注目され、コロナ禍前までは、2020年代後半にもそれが実現する可能性が指摘されていた。

 しかし、米中対立の激化・長期化や想定を大きく上回る少子化の進展(人口減少)などにより、中国経済の成長力に対する見方は大きく下方修正されている。図表4・10は、大和総研予想による米中経済の2035年までの経済規模の推移だ。

図表4・10同書より転載 拡大画像表示

 2023年時点(実績)は中国の経済規模は米国の64.4%程度だが、2035年時点でも米国の76.3%程度にとどまる計算だ。

 ここでは、中長期的なGDPデフレーターを米国・中国ともに2.0%程度、ドル・人民元レートは一定と置いているが、デフレが懸念される中国では、GDPデフレーターはもう一段低くなる可能性がある。

 ちなみに、2023年の中国の実質GDP成長率は5.2%だったが、GDPデフ

 レーターは▲1.0%となり、名目成長率は4.2%にとどまった。

 2035年時点の米中の経済規模の差は、この試算よりさらに大きくなる可能性がある。