17万件の脱毛実績がある
「トイトイトイクリニック」が事業を停止

 2024年の診療所経営事業者の倒産で負債額が最も大きかったのは、医療脱毛クリニックの「アリシアクリニック」を全国に展開していた医療法人美実会(東京都港区、負債72億9500万円)だった。そして2番目に大きかったのは、美実会の関係法人で同じく「アリシアクリニック」を展開していた一般社団法人八桜会(東京都港区、同51億7500万円)だった。

 債権者数(被害者数)はローンを組んだ学生や社会人になったばかりの若い女性を中心に両法人合わせて約9万1800人にのぼり大きな話題となった。

 かつては脱毛業者が倒産してもその多くは「美容脱毛」を手がける株式会社であったことから医療機関(医療法人)の倒産にはならなかった。しかし、近年はより脱毛効果が高い医療法人が施術する「医療脱毛」が主流となるなかで、少子化と競争激化が相まって業界の経営環境は悪化。知名度を上げるための広告競争や集客のための値下げ競争が激しくなるにつれて、限界に達する事業者が出はじめている。

 そうしたなか、2025年に入り早くも都内の医療脱毛事業者が倒産した。法人名は医療法人社団雪焔会(セツエンカイ、東京都渋谷区)。1月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。

 経営していた施設名は「トイトイトイクリニック」で原宿院、新宿院、池袋院の3院を展開していた。熱破壊式の脱毛機器を使った全身脱毛、VIO脱毛、顔脱毛や医療アートメイクや糸リフト、ヒアルロン酸注射などを施術し、各院が入居するビルの同じフロアには男性専用の「メンズトイトイトイクリニック」が併設され、2023年2月期の年収入高はピークとなる約13億3500万円を計上していた。

トイトイトイクリニック※帝国データバンク撮影

 情報が飛び込んできたのは1月31日の午後。「電話がつながらない」というものだった。各院に電話してみたが、平日の昼間にもかかわらずコール音が鳴るだけ。