いずれにせよ、在日中国人の間で文京区の人気が高まっていることは、データからも明らかだ。東京都の統計によると、2022年1月から2024年1月までの2年間で文京区に住む中国籍の住民は約3000人増えており、その増加率は約60%にも上る。都心6区(中央、千代田、新宿、渋谷、文京、港)の中では、港区と並んで突出している。
胡さんも「文京区には教育熱心な人が多く、日本人も同じです。高学歴の方も多いと思いますし、生活の利便性も高いです。夫も子どもの塾や買い物にも便利だと言っています。家族全員にとって良い場所だと思います」と太鼓判を押す。
中国SNSで広がる文京区の評判
中国版インスタグラムとも言われる小紅書(rednote)で「文京区 3S1K」と検索すると、中国人保護者にとって刺激的な投稿がずらりと並ぶ。「文京区の在学生や保護者は、教育に対する意識が都内で一番高いです」「私立中学校や国立中学校への進学率は全国平均で7%、東京都平均は25%ですが、文京区では50%です」といった内容や、3S1Kの小学校を「140年の歴史を持つ」などと詳細に紹介したもの、不動産広告と連動した投稿もある。
![中国人向けのSNS・小紅書](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/d/d/650/img_dd6472553d70bc37267169660a7ae3a9563133.jpg)
さらには、次のような投稿もあった。「一部の保護者は『孟母三遷』を模倣し、文京区の学校に通わせるために現在住んでいる広い家を売り、文京区の古くて狭い家に引っ越すことさえします。その結果、生活水準を下げることになります」
中国大都市の文教地区では、非現地戸籍者には制限があり、不動産の所有者が優先されることから、単に居住エリアに住んでいるだけでは、子供をその地域の学校に進学させらることができるとは限らない。その点、日本では賃貸住宅に住んでいても現地の学校に通わせることができるため、ある意味「公平」に見えるのだ。