新NISAのキホンは、つみたて投資枠でインデックス投資信託を積み立てること。では、どのインデックス投資信託を選べばいいでしょうか。よく言われるように、コストが重要であることは間違いありません。しかし、もっと大切なポイントがあります。『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株&投信77 2025年度版』から、インデックス投資信託の選び方と注意点を解説します。
コストは重要だが“最安”にはこだわらなくていい
迷ったら「オルカン」など「eMAXIS Slim」シリーズでOK
新NISAのつみたて投資枠で1本だけ買うなら、「全世界株型」「先進国株型」「米国株」3タイプどれかの、インデックス投資信託がオススメ。(「オルカン」ってそもそも何? 新NISAで積み立てるインデックス投資信託の基礎とオススメの理由をイチから解説!の記事を参照)。“どこ”に投資するかを決めたら、次はその中で、具体的に“ベスト”の投資信託を選びましょう。
これは難しくありません。インデックス投資信託は、市場全体の値動きを示す「指数」に成績が連動します。投資先、つまり対象の指数が同じなら、中身(運用内容)もほぼ同じです。差があるのは、「信託報酬」というコスト。したがって、信託報酬が安い投信を選べばいいのです。
ただ、小さな差はあまり気にする必要はありません。信託報酬の差が0.1%以上なら、乗換えも選択肢となります。インデックス投資信託では運用会社が0.001%台で低コストを競い合っており、信託報酬のランキングも入れ替わります。もちろん信託報酬は少しでも安いほうがいいのですが、0.01%台の違いが成績に与える影響は誤差の範囲。
そもそもインデックス投資信託の積立は“ラク”なことが魅力ですから、よほどこだわる人以外は、いちいち“最安”に買い替えたりしなくてもいいでしょう(「オルカン」は安さでは2位! 最安の投資信託に乗替えるべき!? 新NISAで買える超低コストの全世界株型インデックス投信ランキングの記事、および新NISAで買える米国株型インデックス投資信託の最新ランキングが激変! 低コスト1位の投信は買い?の記事を参照)。
迷ったら、「eMAXIS Slim」シリーズを選べばOKです。「オルカン」こと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」もその1本。このシリーズは“業界最低水準のコスト”をうたっており、他に大幅に安い投信が出た場合は、それに合わせて信託報酬を引き下げてきます。なお、“Slim”が付かない「eMAXIS」シリーズもつみたて投資枠の対象となっていますが、こちらは「eMAXIS Slim」が登場する以前の古いシリーズで、信託報酬が非常に高いので間違わないよう気を付けてください。
“どの指数に連動するか”のほうが
成績に与える影響は大きい
信託報酬は安いほうがいいのは確かですが、それよりも、投資対象(地域)や、連動する指数の違いのほうが重要です。指数については、なるべく幅広い投資先をカバーする、メジャーなものを選びましょう。つみたて投資枠で買える超低コスト投資信託はメジャーな指数ばかりなので、基本的にはコスト優先で選んでも問題ありません。
成長投資枠で対象のインデックス投資信託は、そうとは限りません。またつみたて投資枠でも一部、特殊な指数のインデックス投資信託があるので要注意です。“AI関連の株価指数”など対象を絞り込んだもので、これに連動する投資信託は、インデックス型というよりアクティブ型に近くなります。わかっていて買う分にはいいのですが、“キホンの1本”としては向いていません。
メジャーな指数でも、同じ市場で複数の種類があり、成績や値動きの傾向が違います。たとえば日本株で有名な2つの指数、「日経平均株価」と「東証株価指数(TOPIX)」では、日経平均のほうがやや値動きが大きい傾向です。また全世界株は「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」が代表的指数ですが、“日本を除く”ものと“日本を含む”ものがあります。もっとも、日経平均とTOPIX、“日本を除く”と“日本を含む”の成績の差は、それほど大きくはありません。中上級者は選ぶポイントになり得ますが、投資初心者はどちらを選んでも大丈夫です。
一方、米国株は指数によって成績にかなり差があります。有名な指数は「S&P500」と「ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)」。S&P500は米国を代表する500銘柄、NYダウは大企業30銘柄で構成されます。キホンとしてはS&P500連動型がオススメです。ハイテク株の比率が大きいS&P500のほうが上昇率が高く、またカバーする範囲が広いためです。つみたて投資枠で買えるインデックス投資信託も、S&P500連動型のほうが豊富で低コストとなっています。
米国株では最近、「NASDAQ100」や「FANG+」連動型のインデックス投資信託も人気が上がっています。NASDAQ100はハイテク株を中心とした100銘柄、FANG+はハイテク株特化で10銘柄が対象の指数。これらは値動きが非常に大きく、さらに高い上昇率が期待できる半面、リスクも高いので中上級者向きです。
※本稿は、ダイヤモンド・ザイ編集部編『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株&投信77 2025年度版』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。