![ベスト経済書・ビジネス書大賞2024#4](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/1/1/650/img_11e81b5212e575299c3903ab753f013b220632.jpg)
特集『ベスト経済書・ビジネス書大賞2024』(全7回)の#4ではランキング3位となった『教育投資の経済学』の著者である佐野晋平・神戸大学大学院経済学研究科教授に、人的資本に対する教育への投資の成果の捉え方について語ってもらった。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
教育に生かされる
経済学のツール
教育と、お金にまつわる問題を対象とする経済学は、結び付かないと考えている人は少なくないと思います。ですが、教育は人的資本に対する投資です。自分や子供に時間とお金を使って能力とスキルを高めていく行為です。
![佐野晋平・神戸大学大学院経済学研究科教授](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/300/img_4639f7d9ae9f430d50b262e94ef9c64e183148.jpg)
人的資本とは知識やスキルのことで、生産性を高め、イノベーションを促すことで経済成長に寄与します。
学校教育による人的資本への投資は若い時期に行われますが、その成果は所得の上昇という形で生涯にわたって回収されてゆきます。このように教育はそれを受けた人に恩恵を与えます。
個人が自らの消費を抑えて将来のためにどれほどの教育投資をすればいいのか、国家が社会保障や防衛などさまざまな投資対象がある中で義務教育などの教育分野にどの程度税金を投入するか、といった意思決定には、教育投資に対してどれだけの見返りがあるかの分析が必要です。その分析に経済学のツールが生かされます。
次ページでは、佐野氏が経済学が扱う教育の範囲、この書で扱った事例などについて語ります。