ウクライナ停戦なら羽田空港「ロシア枠」再開はどうなる?プーチンの飛行機「借りパク事件」は厚顔無恥アエロフロートの旅客機。仏エアバスのA350-900 Photo:PIXTA

プーチン署名で前代未聞の「借りパク」
日本のSMBCグループも被害に遭う

 そうした状況下、ロシア政府はとんでもない行動に出る。なんと、リース会社から借りていた航空機を勝手に自国のものとする「借りパク」行為に出たのだ。

 ウクライナ侵攻を受けてEUは、ロシアに航空機を提供する世界中のリース会社に対して、契約を解除することを要求した。英航空リサーチのシリウムによると、ロシアの航空機の半数以上、515機がリース会社からの貸与だった(22年当時)。

 この制裁に対してプーチン大統領は、「借りた飛行機の所有権を、航空会社に移す」法案に署名した。対抗措置として、飛行機を強制的に囲い込む「接収」に動いたのだ。

 大統領自ら借りパクに手を染める前代未聞の事件である。515機の資産価値は推定で100億ドル(当時の為替レートで約1.2兆円)と試算され、回収できなければリース会社の損失となる。被害を受けたリース会社には、三井住友銀行グループのSMBCアビエーション・キャピタルも含まれている。

 リース会社は当然ながら貸した機材を回収したい意向があるものの、旧ソ連時代的な部品確保のため解体されてしまったものもあり、完全回収は絶望的とみられている。

 言うまでもなく、この国を挙げての強盗行為はロシアの信用を地に落とした。戦争終結後は、リース会社から莫大な損害請求をされても全くおかしくない。