
ロシア枠を没収した英ヒースロー空港
羽田空港のロシア枠はどうなる?
リース強盗に対して、西側諸国の多くが相応な制裁を課した。例えばイギリスは、混雑するロンドン・ヒースロー空港に32往復あったアエロフロートの発着枠を強制没収。オークションを行って、米LCCやチャイナエアライン(台湾)など6社に再配分した。
翻って、羽田空港の発着枠については現在もそのままだ。筆者はその理由について国土交通省航空局に問い合わせたが、残念ながら“ノーコメント”だった。
実は、日本政府はロシアの航空会社による日本領空飛行を公式には禁止していない。ウクライナ侵攻直後は、自民党関係者から禁止を促す声が相次いだ一方で、ロシアに数多く残る日本人の存在などを理由に、欧米とは異なる判断を下した。
また、羽田空港の発着枠は基本的に「二国間交渉」でしか配分されない。日本にはオークション制度のような発着枠を売買できる仕組みがないのも原因だ。制度の導入に関しては、これまで議論はあったものの慎重派の意見が強く、導入には至っていない。
客観的な制度がなく、政治的な思惑が多分に働いている日本の航空発着枠。仮にロシア枠を没収するとなると、羽田全体の見直しに発展する可能性もあり、その場合は議論が長引く。それゆえ、混乱を避けるために放置していたという見方もできる。