それでも、日産はあくまで両社が持ち株会社の傘下に入る“対等な関係”を求めた。過去、日産はトヨタ自動車と共に日本の自動車産業をリードしてきた歴史があり、そうしたプライドもあるだろう。
だが、ホンダの時価総額は日産の約5倍。まして日産の業績は今期大幅に悪化しており、目下大リストラ策を強いられている最中だ。実態を見ると、両社の力関係は対等には程遠い。
経営統合解約を正式発表した日、日産は25年3月期第3四半期の決算発表を行った。リストラ関連費用などの計上により、通期の当期純利益は▲800億円と、赤字転落の見通しとなった。内田社長がターンアラウンド(再生に向けたリストラ策)の進捗状況などを説明したが、これで自力再生できるのか懐疑的なものだった。
結局のところ、ホンダが日産の子会社化を提案したのも、日産による再建策が甘いと判断したのだろう。
しかし、唐突な提案によって、実質的なホンダによる買収と受け止めた日産から、“必要以上”の反発を招いたともいえる。
その点では、ホンダにも拙速な点があったのではないだろうか。本来、最終合意は25年6月とされており、時間はまだあったはずだ。これまで“自立主義”だったホンダは、今回のような大規模な資本関係を含む“本格的”な連合を組むことでの“成功体験”がないため、妥協点を見いだせなかった可能性もある。
いずれにしても両社の経営統合は、破談に終わった。それでは、ホンダ、日産それに三菱自は次の手をどう打つのかが問題となる。