当初の予定では、共同の持ち株会社を設立し、そこにホンダ・日産がぶら下がる構想を描いていた。だが、協議の途上でホンダが、「株式交換による日産の完全子会社化」による経営統合を日産に提案したことで、日産サイドからは反発の声が上がった。

 ホンダの三部社長は「株式交換による経営統合を提案したのは、スピード感と危機感からワンガバナンス体制がベストだと考えたから。(経営統合をさせるという)ホンダの強い意志と覚悟を示したものだが、合意点を見いだせなかったのは大変残念だ」と、ホンダの考え方を明らかにした。

 一方、日産の内田社長は「株式交換による経営統合の提案は、最終的に受諾できないと取締役会で決まった。その理由は、日産がホンダの完全子会社になると自主性が損なわれ、日産の強みを最大限に発揮できない懸念があることだ」と、ホンダからの提案を受け入れなかった理由を説明した。

 すでに2月6日、日産の内田社長がホンダの三部社長に直接、経営統合交渉打ち切りを伝えており、早い段階から両社の間に深い溝があったことを物語る。

 元々、経営統合の協議をリードしているのがホンダであることは明らかだった。

 検討開始発表時の3社のトップ会見では、三部社長が中央に構え、左右に内田社長と三菱自の加藤社長が並んでいた。ホンダ主導による日産との経営統合とこれに関与しようとする三菱自という構図に映った。新設予定だった持ち株会社も、トップや取締役の過半はホンダから指名するとしていた。