御神紋も梅!京都随一の梅名所「北野天満宮」

京都の梅名所を代表するのは、やはり「天神さん」こと北野天満宮でしょう。祭神の菅原道真公(近年北野天満宮さんでは「菅公(かんこう)」と呼んでおられますので、以降はそれに倣います)は、あらゆる“学び”の向上を応援してくださる学問の神様です。梅のシーズンは受験シーズンにも重なりますので、境内は合格への切なる願いを胸に参拝に訪れた受験生や保護者であふれ返り、ご本殿前には長蛇の列ができることも少なくありません。
ご本殿で菅公に手を合わせた後は、建物の北西にある「牛舎」へも足を延ばしてみましょう。こちらに鎮座するのは、江戸時代から参拝者に慕われてきた「一願成就のお牛さま」。境内で何体も見られる「撫で牛」のレジェンドです。“鈴なり”とはまさにこのこと!と言いたくなるほどたくさんの祈願絵馬に囲まれたお牛さまのお顔や体がまるみを帯びているのは、400年もの間、参拝者に撫でられ続けてきた証しです。ご本殿と併せて参拝し、願いを成就させましょう。
お参りが済んで梅観賞へと向かう前に、菅公と梅の関わりを語るのに欠かせない一首を。
東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな
平安中期、第60代醍醐天皇の御世、キャリア官僚として着々と出世街道を上り詰め、右大臣となった菅公でしたが、ライバルである左大臣藤原時平の策略により、大宰府へ左遷を余儀なくされてしまいます。悲しみにくれる菅公が都を発つ前、慈しんでいた梅の木に向かって詠んだ歌だとされています。
梅をこよなく愛した菅公を偲(しの)び、御神紋は梅の花。境内にはおよそ50種1500本もの梅が植栽されています。新年早々に咲く早咲きの梅に始まり、3月末ごろまでさまざまな品種が咲き継ぐため、長期間にわたって梅の花をめでることができます。