「雪月花の“三名園”」でめでる梅の花

2022年には、江戸前期の歌人であり俳人の松永貞徳が造営、「雪月花の三名園」に名を連ねた「花の庭」が再興されました。三名園の残り二つは妙満寺(左京区)の「雪の庭」と、清水寺(東山区)の「月の庭」で、いずれも現存します。
北野天満宮の「花の庭」は、明治初めの神仏分離政策により取り壊されてしまいました。当時の詳しい資料が残っていないため、かつて「花の庭」にあったという庭石を再利用し、現代の感性でよみがえらせたこともあり、再興後は、雪月花“三名園”ではなく“三庭苑”と称しています。
1月25日(土)から3月16日(日)まで公開され、入苑料は大人1200円です。取材時にはふっくらとしたつぼみが多く見られましたので、慌てて出かけなくとも、今年はじっくりと計画を立てる時間のゆとりを持てそうです。
他の梅名所にない魅力は、梅を眺めるための展望台があること。梅の花を仰ぎ見るのではなく、紅や白の雲がたなびくかのような花景色を見渡すことができるのです。苑内をそぞろ歩いて花を満喫した後は、近くの花街・上七軒にある名店「老松」さんのお菓子と梅茶で一服して、ほっこりできますよ。
2月14日(金)から3月2日(日)までの毎週金・土・日曜と天神の縁日である2月25日(火)の日没後には、約700基ものロウソクの灯りに照らされるライトアップも実施されます。桜のライトアップはおなじみですが、梅のライトアップは珍しいのではないでしょうか。周囲の景色が闇に隠れて見えない分、梅の花の可憐な花姿やかぐわしい香りがより際立つことでしょう。
旧暦のこの日が菅公の命日ということもあって、2月25日には、北野天満宮の年中行事の中で最も華やかな「梅花祭」が行われます。ご本殿での祭典後、境内で上七軒の芸舞妓による野点(のだて)が行われます。野点拝服券は楼門手前の「文道会館」ですでに頒布中。拝服券、宝物殿拝観券、宝物殿拝観券、撤饌引換券が付いて3000円。なくなり次第頒布終了となりますので、お早めにお求めください。
なお、毎月25日はアンティークの器や雑貨、着物などが並ぶ恒例の天神市も開かれますので、にぎわいがお好きな方はぜひ2月のこの日にぜひ。梅の花を静かに眺めたいという方はこの日は避けて、梅苑の午前9時の開園直後か、受け付け終了午後3時40分の直前に門をくぐり、閉園する4時までの間に観賞するといいでしょう。