一人暮らしで子どもがいなかったり、子どもや親戚が遠くにいてほぼ家に誰も来なかったりする状況だと、ゴミ屋敷状態に陥ることは決して珍しくありません。
せめておカネになるような高級美術品が発掘されたら片づける方の苦労も少しは報われるものですが、現実にはそんなうまい話はなかなかありません。
実はこの男性宅からは、大量の美術品が見つかったのですが、保存状態も良くなく、鑑定書もないため、結果的にほぼタダ同然で引き取ってもらうことになりました。
弟は、休みのたびに兄の家に行き、半年余りゴミ屋敷と格闘しました。しかし結局は諦め、業者に頼むことに。ネットで5万円からという広告につられて依頼したものの、結局100万円近い撤去費用がかかることになりました。
幸い、神奈川県という立地のため、弟夫婦は土地を売却することで収支は黒字になりました。しかしながら、三大都市圏以外では、土地を売却しても撤去費用が上回り、赤字になることも珍しくないのです。
事例で学ぶ相続トラブル(2)カネで家族が分裂
仲が良かった兄弟が弁護士を立てて対立する事態に
続いては「カネ」でトラブルに発展したケース。大阪の閑静な住宅街に住む女性、田中さん(仮名)は80代で亡くなりました。
相続人は子どもが2人。50代前半の長男の太郎さん(仮名)と、40代後半の次男の次郎さん(仮名)です。兄弟仲の良い2人でしたが、相続をきっかけに対立することになってしまいました。
大きな要因となったのが、太郎さんの後妻の存在です。
“医師家系”である田中家。近所でクリニックを経営している太郎さんは、最近、後妻を迎えていました。彼女は義母が亡くなったとことで気を使うべき人がいなくなったからか、夫を介して遺産を少しでも多く相続することを主張したのです。
「あなた(太郎さん)はなんで、法定相続分で次郎さんと遺産分割するなんて中途半端なこと言ってるの? あなたは国立の医学部を卒業したけど、次郎さんは私大の医学部よ。
さらに次郎さんは医者になる前に中学、高校とイギリスにも留学させてもらってる。結局、私立の医大に入って医者になったけど、そこに至るまでの学費は一体いくらかかっているか知ってる? 億単位よ。それなのに、母親の遺産を半分で済ませるなんて何を考えているの?」