このケースでは、遺言がないため、最終的には法定相続分に基づき、前妻の子である山田さんにも相応の遺産が分配されることになりました。交渉は難航し、最終的に再婚後の子どもたちは大きな妥協を強いられる形となったのです。
この場合も遺言があれば、結果は異なりました。遺留分という最低限もらえる権利は前夫の子どもにもあるものの、後夫の子どもは法定相続分よりも多い財産を相続できました。後の祭りにならないためにも、遺言は必須といえるでしょう。
相続トラブルは金がかかる!
遺言は絶対に作成するべき
「相続でもめると出費が増える」ことは、この3つの事例からも明らかです。千万円単位、億円単位のお金が関わるトラブルに発展することも少なくありません。

離婚して、再婚したケースでは「ほぼもめる」と私は考えています。遺言の作成はマストです。他にも、特に富裕層では、認知した子どもがいるとか、認知はしていないが子どもがいるらしいというような話も意外とあります。
亡くなった人が遺言を作成している割合は、今もなお1割前後だといわれています。「ウチは富裕層でないから関係ない」と思われるかもしれませんが、財産の多寡にかかわらず、遺言は作成すべきというのが私の持論です。私は40歳の時に遺言を初めて作成し、45歳で再度書き換え、今年50歳ですが、今年もこれから再度書き換える予定です。
死後、トラブルの火種を消すことはできません。生きている間に、未然に防いでおく。これが、財産を遺す者のやるべきことだと思います。