ちょっとした工夫で
働きやすさを確保する
働き始めてからは、どのようなサポートをすることを想定しているのだろうか。
ワークサポート部では長年、「ほんの少しの工夫」で障害者が働きやすくなるような環境づくりをしてきたという自負がある。その結果、同社では、1年を経過しても90%以上の障害者が勤務を継続しているという。
採用時に入社後の業務イメージや支援体制について細かく具体的に伝え、職場が合っているかどうか、応募者自身が判断できるようにするほか、採用前に3日から1週間程度の実務体験を行い、業務イメージを持った上で入社してもらうことで、ギャップによるミスマッチも防いでいる。
日常業務での工夫の一つは、テキストベースのコミュニケーションを支援するデジタルツールの活用だ。「テキストに落とすことで、伝えられた指示を明確にしながら、自分の理解を整理し、抜け漏れもチェックできる」(山中氏)。
あうんの呼吸での暗黙の了解やあいまいな指示がなくなり、正確なコミュニケーションが可能になる。複数の人から同時に指示が出る場合でも、テキストであれば優先順位や誰の指示かが明確になり、混乱を防ぐことができる。口頭で即応するのが苦手な人にとっても「心理的安全性」を確保し、プレッシャーを感じずに自分のペースで考えを整理してから返答できる利点もある。
リモートワークの活用も重要な要素だ。電通総研ではもともと社員が在宅勤務ができる環境があり、既存の会社の制度が活用できそうだ。
開発事業室チーフアーキテクトの高木幸雄氏は何より「楽しんで活躍してもらえる」ような、継続して働ける環境づくりが企業側にとっても当事者にとっても望ましいと力説する。