1人1プロジェクトが
働きやすさの秘訣

 JPTの社員構成は、現在46名で、そのうち43名が障害者だ。障害種別の内訳は、精神・発達障害が約86%、身体障害が7%、健常者が7%となっている。年齢別では30代が62%、20代が26%、40代が12%と、若い世代が中心だ。

 何と言ってもJPTの業務体制の最大の特徴は「1人1プロジェクト」体制(以下の図参照)だ。当初、インターンでチーム作業を試みたところ、スキル差や相性の問題で必ず誰かが体調を崩していた。特に発達障害がある場合、人間関係でストレスを感じると仕事ができなくなる。全員が自分のペースで仕事ができるよう、1人で1つの仕事を担当する体制を確立した。

 この体制を支える3つの要素として、阿渡氏は「重要だけど緊急でない仕事」「フルリモート・フルフレックス」「柔軟なコミュニケーション」を挙げる。

 日揮グループでは、前述した配管内目視作業のAI検知など、「いつかやりたいが手が回らない」仕事がたくさんある。今すぐなくても、人がやれば済むので困りはしない。そういう「重要だけど緊急でない仕事」だけを請け負い、納期を決めずに取り組んでもらう。「納期のプレッシャーがないため取り組みやすい。最悪ギブアップしても問題ない仕事だけを請け負っている」

 また、フルリモート・フルフレックスにより、どこでいつ働いてもよい環境を提供している。週20〜40時間の範囲で、自分に合った時間数を設定可能で、深夜勤務(22時〜5時)以外は自由に働くことができる。中抜けも自由。

 フルリモートなので、社員は全国に点在する。関東圏が中心だが、北は宮城県の仙台から西は福岡まで、全国各地で働いている。東京・神奈川エリアが最も多く、関西では大阪、日本海側では石川県、中部地方では岐阜県など。地理的な制約がないことも優秀な人材を採るのに有利だ。