サントリー大学で学ぶ「イズム」
とそこで起こる「融合」

 グローバル経営を実現するうえでは人財育成が欠かせません。新浪さんの肝いりで始まった、サントリーがグローバルに発展していくための人財育成プログラム「サントリー大学」の設立から10年になろうとしています。既存のデジタル学部、グローバル学部に加え、2023年には「100年キャリア学部」が新たに設置され、特に40代以上のミドル・シニア世代に対する長期的な視点でのキャリア設計プログラムがスタートしました。

 サントリー大学において、グローバルで長く活躍できる人財はどのように輩出されているのでしょうか。熟練人財のリスキリングの可能性も含めて、100年キャリア学部の狙いを教えてください。

 ビームのPMIの時に痛感したのは、サントリーが100年以上にわたって受け継いできた創業精神や企業理念、すなわちサントリーイズムをグローバルに浸透させることでした。異なる価値観や思考プロセスを持つ従業員たちがONE SUNTORYの下に結集するには、人財育成においてサントリーイズムの浸透が最重要事項であると位置付けています。

 サントリー大学はそのサントリーイズムをともに学び、世界で挑戦するサントリアンを育てるために2015年に設立しました。サントリー大学を通じて、海外の幹部社員や中堅社員を日本へ呼び、国内社員と一緒に、サントリーの創業精神、ビジネスの現場での考動など、「天然水の森」などの現場にも赴き学んでもらい、それを世界に広めるエバンジェリストとなる人財を育成しています。

 また、サントリー大学はハイレベルな幹部の育成にも大きく貢献しています。ハーバード・ビジネス・スクールとの連携で開発した「サントリー・ハーバード・プログラム」というオリジナル講座では、経営戦略やグローバルな動向を学び、グローバルで侃々諤々の議論をしながらトップリーダー候補生としての素養を磨きます。これまで国内外の4万人超の社員がサントリー大学で学びました。その結果、一人ひとりが、食品酒類総合企業としてものづくりへの誇りを持ち、よりよい商品をグローバルに届けたいという意識が高まっています。経営陣と現場のコミュニケーションも活性化し、新たなビジネス創出の一助にもなり始めていて、サントリーらしい「融合」が起きているのです。