メキシコ工場は、マツダの北米戦略の重要な拠点であるが、トランプ大統領はメキシコとカナダからの輸入品に25%の追加関税を課すと宣言をしており、大打撃は必至だ。なお、自動車については1カ月間免除する措置を3月5日に発表し、現在はまだ“猶予中”ではあるが、余談を許さない状況には変わりない。

 さらに、トランプ米大統領は現地時間26日に、日本も対象とするすべての輸入車に25%の追加関税を発動すると発表。4月3日から、恒久的な措置で実施すると発表した。メキシコに加えて日本からの輸出車にも高関税がかかるとなれば、マツダの営業利益へ下押し影響は極めて大きく、赤字となる公算があるとの見方も出ているほどだ。

 また、マツダの地場サプライヤーへの波及もあり、広島・山口地域の経済と雇用への影響など、国内生産体制を揺るがすものになり得ないことになる。

 毛籠社長は「トランプ政権動向の情報をしっかり入手し、精査していくしかない」と答えていた。だが、毛籠マツダ体制として27年以降の競争力向上に向けた経営方針を打ち出したばかりだけに、この最大の収益源の米国での関税問題をどう乗り切るか、大きな勝負所になりそうだ。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)