『勉強が面白くなる瞬間』との共通点

――八木さんの「世界一ゆるい勉強法」と『勉強が面白くなる瞬間』の共通点はありましたか?

 響いた言葉がありました。

勉強が人生をすばらしいものにしてくれるとは、「自分の人生を成長させる」という意味です。結論から言うと、勉強というものは心をコントロールすることに他なりません。「勉強するうちに心がだんだんと強くなり、自分の人生も少しずつ成長する」という意味です。これが勉強の本質なのです。
――『勉強が面白くなる瞬間』(p61)

・心が強くなって、人生も成長する
・トレーニングを通じて、心が強くなる

 勉強もまったく一緒なんですよね。勉強することで、心を強くする。あと、「人と比べず、過去の自分と比べる」。めちゃくちゃ響きました。

――お笑いの世界はまさに競争の世界。上に行くのもたいへんですし、下からは若手がどんどん出てくる。転職のない世界ですし、比べてしまうことが多いのではないでしょうか。

 才能があっても、上には上がいる。結局、人と比べたら、才能があるのに、才能がないように感じてしまう。簡単に例えると、140キロ強のスピードを出せても、大谷翔平選手を見たら、心が折れるみたいなものです。

 山口智充さんを見て、「こんな人がいる世界で生きていっていいのかな」と感じてしまった。ものまねで、すごい芸術作品を生み出せるような人。ひと回り上の先輩ならわかるけど、ちょっと上の先輩というのがね。

 宮本武蔵『五輪書』に、「勝てそうにない相手がいる。そのときは、太陽に背を向けて戦う」とありました。そういう考え方をしないと、芸能界は厳しい。くわえて、人と比べてもしかたがない。

 稼いだら稼ぐほど競う。「1億円を稼いでいる?」とか。でも、本当に大事なことは、稼ぎたい額をゴールにすること。自分なりに設定したほうがいいですね。

 うちの家庭は、僕と奥さんと子どもふたり。小さな家ですが、最低限の生活ができて、たまにおいしいものを食べにいく。これを維持できることが僕のゴールです。

 東大に入ることだけが勉強ではないし、1位になることが目標ではない。比べるのは、昨日より今日の自分。覚えられたかどうかなど、そこを意識したほうがいいですね。