ミーティングでは、相手打線に対する攻め方の全体的な意識づけという話も出る。「相手打線は調子がいいから、今日はインサイドをどんどん投げていこう」といった内容だ。それが3連戦の初戦であれば、2戦目、3戦目の先発投手の配球にも関わってくる話なので、プラスアルファではなく、やはり守らなければいけないチーム戦術だ。
内角の直球が好きな打者には
内角の直球を見せ球にする
私の場合、現役時代も監督時代も、バッテリー・ミーティングで取り上げられる相手打者のデータの中で、「使えるデータ」はそれほど変わらなかった。
スコアラーが話す相手打者の傾向は、主に直近3試合のデータの分析結果に基づいている。
ここでは「直近の3試合で4割打っている。その前の3試合は1割5分だったから調子が上がってきている。直近3試合で打っているコースは、インコースが8割、アウトコースが2割。インコースで打っている球種はストレートが8割。アウトコースは変化球よりもストレートを打っている」といったデータを出す。
基本的にバッテリーは、そういう打者の傾向の逆をいく配球をする。このケースで言えば「アウトコースの変化球をカウント球か勝負球にしよう」と考える。

工藤公康 著
加えて、バッテリーは「どのカウントで打っているのか」というデータも重視する。すると、たとえば「早いカウントで打っている傾向が強い。追い込まれての変化球はあまり打っていない」といったことがわかる。
4割打っている直近の3試合で、早いカウントでインコースのストレートを打っているという傾向がわかれば、「インコースのストレートを見せ球にしよう、追い込んだらアウトコースの変化球で勝負しよう」となるわけだ。
ミーティングではデータをまとめたペーパーも配られる。一例で言うと、各打席の打球方向やヒットかファールか凡打かなどの結果がカウント別に整理されている。直近3試合のデータのほかにも、過去のその投手との対戦成績や打たれたコースと球種などのデータも配られる。
ただ、データがいろいろありすぎて混乱する投手も少なくない。そういう場合は、スコアラーやピッチングコーチが要点だけを伝えるようにすることが多い。