実際、 国はすでに次の目標として、2030年を目途に、より高い省エネ性能である「ZEH(ゼッチ)水準」(「断熱等級5」かつ「一次エネ消費量等級6」)を標準にしたい考えを示している。

 ZEHとは、ごく簡単に言えば「年間のエネルギー消費量が、実質的にゼロになることを目指した家」のことだ。この流れを踏まえると、2025年の基準(等級4)をクリアしただけで満足していると、数年後には「やや性能の古い家」と見なされてしまう可能性も否めない。だからこそ、今回義務化される「等級4」は、省エネ性能向上のゴールではなく、あくまでスタートラインと捉えるべきだ。

 そして、単に基準をクリアするだけでなく、積極的に省エネ性能を高めることの具体的なメリットを理解しておくことが重要になる。光熱費の削減はもちろん、室内の温度差が減ることで健康リスクが低減し、結露抑制によって住宅も長持ちする。将来的に家を売ったり貸したりする場合の資産価値にもプラスに働くだろう。

 これから新築を考えているなら、可能な範囲でZEH水準(断熱等級5、一次エネ等級6)以上を選ぶのが、長い目で見て賢い選択と言えそうだ。当初予算での実現が難しい場合であっても、国や自治体の充実した補助金制度を活用し、二重窓・インナーサッシといった効果の高い断熱リフォームで性能の向上を図ることもできる。

 中古住宅では、新築のような省エネ基準の義務化は今のところ予定されていない。一方で、中古住宅の断熱改修に対する国や自治体の補助金・助成金は拡充傾向にあり、今後も続くものと考えられる。つまり、中古住宅を購入し、補助金を活用しながら断熱性能を高めるという選択は、以前よりもずっと現実的で、取り組みやすくなっているとも言える。

 2000年以降に建てられた中古住宅は、今の基準で見てもしっかりした造りのものが多く、比較的安心して選ぶことができる。こうした家をベースに、補助金を利用して断熱リフォームで快適にする、というのも一案だろう。