家づくりにどう影響する?
「4号特例」縮小とは

 次に注目したいのが、建築確認申請の手続きに関わる「4号特例」の縮小だ。これは主に家づくりのプロセスに関わる変更だが、消費者にとってもコストや安全性に関わる重要なポイントである。

「4号特例」とは端的に言うと、一般的な木造2階建て住宅(4号建築物)を建てる際に、確認申請(設計チェック)の手続きが一部簡略化される制度であった。しかし、建物の断熱性能や省エネ性能を高める「省エネ化」により、住宅の重量化の傾向も顕著になり、耐震性能など構造安全性をより確実にチェックする必要が高まった。

 結果として、多くの木造2階建て住宅が審査省略制度の対象外「2号建築物」となり、原則確認申請時に構造関係や省エネ関連図書(工事に必要な図面や仕様書)の提出・審査が求められることとなった。言い換えれば、これまで省略可能だった部分も、しっかりチェックされるようになったわけだ。

 では、この変更により、「家づくりにどのような影響があるのか」と、心配する向きもあるかもしれない。結論から言えば、影響は限定的であり、大勢に影響はないと見ておいていい。その理由として、審査内容の多くが本来遵守すべきものであったことや、影響が大きい大規模リフォームは市場の一部であることなどが挙げられる。手続き上の手間は増えても、設計の根本が変わるわけではない

 ただし、書類作成や審査対応の時間が増えれば、それが設計料や建築費に反映され、設計や申請に関わる手間とコスト増、それに伴う工期への影響がありうることは考慮しておかなければならない。

 例えば、築30年一戸建てのフルリノベーションなどを行う場合は、新築以上に注意が必要となる。本来は確認申請が不要だったような大きな改修工事も、今後は申請が必要になるケースが増えるため、業者選定時には、確認申請への対応力、経験、建築士の在籍などを慎重に確認する必要がある。

 実際に今回の4号特例の縮小について、率直に質問をぶつけてみるのも有効な方法の一つだ。説明が曖昧だったり、過去の実績を具体的に示せなかったりする会社は避けたほうがいいかもしれない。急がないなら、制度が落ち着くまで様子を見ることもおすすめしたい。

太陽光発電導入への
メリットと課題

 続いて、「エネルギーと未来」の視点から、太陽光発電パネル設置の一部義務化(東京都)について解説する。この制度も2025年4月からのスタートであり、今後の住宅のあり方を占う上で、注目すべき動きと言えるだろう。東京都がこの制度を先駆けて導入した背景には、都の高い環境目標達成やエネルギー自給率向上といった狙いがある。

 ただし、義務化の対象となるのは、都内で年間に一定規模以上の住宅を供給する、いわゆる大手ハウスメーカーなどに限られ、全戸対象というわけではないこと、また日照条件などを考慮した上で、設置対象となるかどうか判断されることを理解しておきたい。