太陽光発電については、さまざまな意見が聞かれる。主なメリットとしては、まず、自家消費による電気代の削減効果が挙げられる。売電価格が落ち着いた現在では、発電した電気を電力会社に売るよりも、自宅で消費するほうが、結果的に電気代の節約につながりやすい、という考え方が一般的になっている。
加えて、災害などによる停電時にも、最低限の電力を確保できる面でも価値は大きい。蓄電池も併用すれば、さらに安心感が増すだろう。一方で、初期費用や安全性、将来の廃棄などへの懸念の声があるのも事実である。
しかし、初期費用に対しては国や自治体の補助金制度があり、安全性についても適切な設計・施工と法改正によるチェック強化で対応可能と考えられる。廃棄問題に関しても、今後の技術開発やリサイクル市場の整備が期待されるところである。このように、太陽光発電にはメリットと課題の両面があるが、脱炭素化やエネルギー自給といった社会全体の要請を背景に、導入促進の流れは今後も続いていくはずだ。
すでに東京都だけでなく、他の自治体においても同様の制度導入に向けた動きが見られる。実際に太陽光発電システムの導入を検討する際には、メリット・デメリット、そして補助金制度の活用などを総合的に考慮し、自身のライフプランや価値観に合った判断が求められる。
変化の時代を見据え
未来の住まいを考える
2025年4月、住宅を取り巻くルールは大きな転換期を迎えた。新しいルールのもと、一時的なコスト増や手続きの煩雑さといった側面がもたらされるかもしれない。だが、長期的に見れば、これらは個々の住宅の性能や安全性を高めるとともに、社会全体のエネルギー問題や環境課題への対応を後押しするものとも言える。
重要なのは、こうした変化を正確に理解し、自身の状況に合わせて最適な選択を行うことである。新築・中古を問わず、省エネ性能や安全性への意識を高め、利用できる補助金制度などの情報を積極的に収集していくことが鍵となる。変化を負担と捉えるだけでなく、より良い住まいを実現する機会と捉える視点が、これからの時代には不可欠となるのではないだろうか。
(株式会社さくら事務所創業者・会長 長嶋 修)
さくら事務所公式サイト
https://www.sakurajimusyo.com/