誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)など、33万部突破シリーズの原点となった『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

【精神科医が教える】真面目な人ほど陥りがちな「要注意の考え方」Photo: Adobe Stock

つい、完璧を目指してしまう

 今日は、「何もかも最善の状態にする必要はない」というお話をしたいと思います。

 日々いろんなことに取り組んでいると、「ここはもっとこうした方がいいんじゃない?」とか「作業効率が悪いから改善した方がいい」と、指摘を受けたり、自分でも気づくことがあったりしますよね。

 もちろん、ちょっとした改善で大きな違いが出ることもありますので、素直な気持ちで耳を傾けておくのは大事なことです。

自分でもわかっている「改善ポイント」

 実際、自分でも「これをこうすれば楽になる」「こっちの方がきっといい」とわかっていることもあるものです。

 真面目な方ほど、「じゃあ、全部を最善にしよう」と思ってしまう傾向があります。

最善をキープするのは大変

 でも、すべてを常に最善な状態に保つのは、かなりのエネルギーを必要とします。しかも、やってもやっても終わりがないんです。

 世の中のあらゆるものが日々変わっていくので、それに合わせて常にアップデートしようとするのは、言わばアプリを毎日手動で最新状態に保つようなものです。

変えるにはエネルギーがいる

 新しいことを始めたり、これまでのやり方を変えるには、想像以上のエネルギーが必要です。

 例えば、職場を変えるとしましょう。それがどんなに条件の良い職場だったとしても、仕事内容や人間関係が一新されることで、かなりのストレスを感じることもあります。

 つまり、「これは正しいことだ」とわかっていても、環境を変えるのは簡単なことではないのです。

優先順位を見極めよう

 だから、「これはやったほうがいい」とわかっていても、それが今の自分にとって本当に優先順位が高いのかどうか、よく見極める必要があります。

 その改善に取りかかるには、まず現状を把握し改善点を見極め変更後の運用にも慣れなければなりません。その労力に見合わないと感じるなら、無理に最善を目指さなくても良いのです。

本当に大事なところだけでいい

 最善を目指すべきは、「ここはさすがにまずいな」と思うような、本当に大事なところだけでいいと思います。

 それ以外は「余裕ができたら少しずつ良くしていこう」くらいの気持ちでちょうどいいのではないでしょうか。

他人とのこだわりポイントの違い

 他人からすると、「ここをこう変えたらもっと良くなるよ」と親切心からアドバイスされることもあります。でも、そのこだわりポイントって、人によって全然違うものなんです。

 善意で言ってくれているのはわかるけど、そのアドバイスが自分に合うかどうかはまた別の話です。

大切なのは「心が向いたとき」

 新しいやり方や便利なツールが、必ずしも自分にフィットするとは限りません。だから、全部を最善にしよう、本来こうあるべきなんだ、と思って無理に取り入れなくてもいいのではないかと、私は思っています。

 会社の経営者のように、すべてを最適化しておく必要がある立場の人もいます。ですが、仕事やプライベートにおいて、「すべてを最善に」という考え方は、かえって自分を苦しめてしまうこともあるのです。

 だからこそ、「これは今やるべきだ」と自然に心が向いたときに取り組めば、それで十分なのではないでしょうか。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。