誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)など、33万部突破シリーズの原点となった『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

つい、完璧を目指してしまう
今日は、「何もかも最善の状態にする必要はない」というお話をしたいと思います。
日々いろんなことに取り組んでいると、「ここはもっとこうした方がいいんじゃない?」とか「作業効率が悪いから改善した方がいい」と、指摘を受けたり、自分でも気づくことがあったりしますよね。
もちろん、ちょっとした改善で大きな違いが出ることもありますので、素直な気持ちで耳を傾けておくのは大事なことです。
自分でもわかっている「改善ポイント」
実際、自分でも「これをこうすれば楽になる」「こっちの方がきっといい」とわかっていることもあるものです。
真面目な方ほど、「じゃあ、全部を最善にしよう」と思ってしまう傾向があります。
最善をキープするのは大変
でも、すべてを常に最善な状態に保つのは、かなりのエネルギーを必要とします。しかも、やってもやっても終わりがないんです。
世の中のあらゆるものが日々変わっていくので、それに合わせて常にアップデートしようとするのは、言わばアプリを毎日手動で最新状態に保つようなものです。
変えるにはエネルギーがいる
新しいことを始めたり、これまでのやり方を変えるには、想像以上のエネルギーが必要です。
例えば、職場を変えるとしましょう。それがどんなに条件の良い職場だったとしても、仕事内容や人間関係が一新されることで、かなりのストレスを感じることもあります。
つまり、「これは正しいことだ」とわかっていても、環境を変えるのは簡単なことではないのです。
優先順位を見極めよう
だから、「これはやったほうがいい」とわかっていても、それが今の自分にとって本当に優先順位が高いのかどうか、よく見極める必要があります。
その改善に取りかかるには、まず現状を把握し、改善点を見極め、変更後の運用にも慣れなければなりません。その労力に見合わないと感じるなら、無理に最善を目指さなくても良いのです。
本当に大事なところだけでいい
最善を目指すべきは、「ここはさすがにまずいな」と思うような、本当に大事なところだけでいいと思います。
それ以外は「余裕ができたら少しずつ良くしていこう」くらいの気持ちでちょうどいいのではないでしょうか。
他人とのこだわりポイントの違い
他人からすると、「ここをこう変えたらもっと良くなるよ」と親切心からアドバイスされることもあります。でも、そのこだわりポイントって、人によって全然違うものなんです。
善意で言ってくれているのはわかるけど、そのアドバイスが自分に合うかどうかはまた別の話です。
大切なのは「心が向いたとき」
新しいやり方や便利なツールが、必ずしも自分にフィットするとは限りません。だから、全部を最善にしよう、本来こうあるべきなんだ、と思って無理に取り入れなくてもいいのではないかと、私は思っています。
会社の経営者のように、すべてを最適化しておく必要がある立場の人もいます。ですが、仕事やプライベートにおいて、「すべてを最善に」という考え方は、かえって自分を苦しめてしまうこともあるのです。
だからこそ、「これは今やるべきだ」と自然に心が向いたときに取り組めば、それで十分なのではないでしょうか。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。