兵庫県・栃木県・徳島県の
倒産件数が大幅増

 81件を都道府県別で見ると、大阪府の17件が最多。東京都の13件、神奈川県の7件、兵庫県と福岡県の各5件が続く。人手不足や競争激化などで都市部でも倒産が多い。

 また、地方では、前述の通り、一軒回る間の距離が長い非効率経営も影響し、ガソリン代や人件費などのコストアップに耐えられないケースが目立つ。地域により課題が大きく異なり、一律ルールでは対処できないことが、訪問介護への支援の難しさにつながっている。

 前年に比べ増加が目立つのは、兵庫県(2→5件)、栃木県(0→3件)、徳島県(0→3件)、滋賀県(2→4件)、熊本県(1→2件)、東京都(7→13件)で、都市部だけではなく、地方の一部で倒産が増えている。

市場撤退率トップは
徳島県の4.3%

 TSRが保有する約400万社(2025年3月末時点)の企業データベースによると、メイン事業が訪問介護の企業は全国で3万5189社ある。

 都道府県別では、大阪府の6118社が突出して多い。次いで、東京都の3316社、兵庫県の2076社、神奈川県2023社、愛知県1967社と続く。

 この3万5189社という企業数と2024年訪問介護の倒産および休廃業・解散(倒産・廃業計)の合計529件から算出される全国の市場撤退率は1.50%で、66社に1社が退出している計算だ。

 病院や歯科医院など「病院・医院」の市場撤退率は0.44%、コストアップに苦しむ「ラーメン店」は1.61%だ。訪問介護は「病院・医院」の3.5倍と高く、「ラーメン店」とほぼ同水準だった。