その核心部分について、関氏は「受託製造の本質はお客さまの信頼にある。こちらからお客の固有名は言えない」とするが、質疑応答でも「台湾と日本は親和性が高い。あえて日産とは言わないがやるとなれば徹底的にがっぷりと早くやりたい」と述べており、関心の高さをにおわせた。

 改めて、日産の現状を振り返っておこう。内田誠前社長体制から転換し、4月からエスピノーサ社長が率いる新体制が始まったが、業績停滞が続く日産は、さらに大きく踏み込んだターンアラウンド(再生の構造改革)を進めなければならない。米国のトランプ関税政策によって、米国向けの中心となるメキシコと日本での生産体制の大幅変更も余儀なくされる。

 特に、国内工場の中には、トランプ関税の問題以前から稼働率低下が恒常化しているものがあることも指摘されていた。これらの体制見直しにも踏み込む必要があるだろう。

 4月には、ルノーと日産が相互出資比率を15%から10%に引き下げることが可能となるよう提携を見直したことを発表した。これには、投資余力の少ない日産が資金確保を急ぎたいという事情もあった。一方でルノーが日産株を手放すとすれば、その行方も日産にとっては一大事となる。

 日産の自力再生にはハードルがある。トランプ関税が「弱り目にたたり目」になっており、国内工場の閉鎖も含めたさらなる構造改革が必要。EVやソフトウエアなど今後の莫大な投資を考えれば、他社との協業は必須だ。