そのユーロンとホンハイは、ホンハイのEV事業進出の第1弾として投入したユーロン初のEV「ラクスジェンn7」を共同開発した縁もある。また、三菱自動車の台湾販売を手掛ける中華汽車は、裕隆グループの傘下というつながりもある。筆者が台湾現地取材をした際には、台湾三菱商事の自動車事業部長の対応を受け「裕隆汽車・中華汽車とホンハイの関係」を力説してもらったこともある。
さて、話を戻すが、関心が高まっているのが、日産・ホンダ・三菱自動車とホンハイの4社の連合という構想だ。ホンダと日産の統合は破談となったが、日産社長交代を受けて、改めて連携の模索が行われている。ホンダら3社の提携にホンハイが加わる座組で、実際に関氏も関心を示す発言をしている。
しかし、その議論に水を差す事態が発生した。ホンダのキーマンである青山真二前副社長が4月7日付で突如、辞任したのだ。
青山氏は、本田宗一郎・藤沢武夫のホンダ創業者コンビ同様、技術出身のトップに対する営業出身のナンバー2の最高執行責任者として、現在の三部敏宏社長を支えてきた中心人物だ。ホンダの稼ぎ頭の二輪事業(24年3月期の営業利益は17.3%)出身で、二輪事業本部長から米国ホンダのトップ、四輪事業本部長を経て副社長に就任し、ホンダの決算発表も仕切ってきた。いかにも切れ者のこわもてタイプだ。日産との統合議論でも事務方を統率してきており、青山氏の脱落は三部ホンダにとって手痛い。
辞任理由の詳細は明らかではないが、勤務時間外の懇親の場で不適切な行為を行ったという。ホンダは取締役会で処分を下す予定だったが、7日に本人から辞任届を出されて辞任に至った。ホンダは、事案を重く受け止めて三部社長の月額報酬20%を2カ月間、自主返納することとしてトップとしての責任を取るとしたが、本来こうした不祥事は解任処分とすべきもので、自主的な辞任を許したホンダの“甘さ”を指摘する声も強くなっている。