1人でやると上限が決まってしまうことを、時間や思考力を確保するために外に出していきます。これによって自分のリソースを最大限使えるようになるし、未来への投資にもなる。

 現在は、なんでも自分でやってみるフェーズから、このレバレッジのフェーズに移行しているため、外注や業務委託、ITツールを取り入れて仕事をしています。

「やらないこと」を
決めるのが大事

 独立後ははじめての経験も多く、失敗も多いし、困ってしまうこともあります。でも、壁にぶち当たっていろいろ考えたことは、血肉となって残ります。

「失敗の要因」を知れば次に生かせるし、経験したうえで「やりたくないこと」を除外していくと、事業の方向性が決まっていくと感じています。

 私は「やりたくないこと」を決める際、「時間」と「量」の2つの側面から検討するようにしています。

 私の場合、家庭と仕事のバランスを考えると、子どもが小学生のうちは、彼らと一緒に過ごす時間の優先度が一番高いです。そのため、いくら次の仕事につながりそうだとしても、夜のイベントを受け続けると、「子どもに早く寝てほしいと思ってしまい、落ち着かない」「子どもとゆっくり遊べない」とストレスがたまっていきます。

 はじめは、夜の時間帯のイベント登壇の仕事も引き受けたりしていました。しかし、そのためにシッターさんを手配し、家族と過ごす時間は減り…となると、何のために独立したのかわからなくなってきます。そのため、現在は夜の仕事は減らしています。

 単発での仕事は「1回だけ」「チャンスだし」と「やったらいいこと」が満載。「次はもうないかも」と思って受けたくなるんですよね。

 しかし、実際にその仕事を請けると、メールのやり取り、Zoomでの打ち合わせ、書類のやり取り(お金をいただく場合は請求書発行なども)、スライド作成など、それにまつわる作業にも時間がかかります。

「会社員のほうが楽だった…」独立後の「1人ブラック企業」から抜け出したシンプルなルール『「40歳の壁」を越える人生戦略 一生「お金・つながり・健康」を維持できるキャリアデザイン』(尾石 晴、ディスカヴァー・トゥエンティワン、ディスカヴァー携書)

 すると、ルーチンでやっている朝のオンラインヨガ、Voicy収録、note執筆などが遅れていき、本来大事にするべき仕事の質が下がってしまうことが経験上わかりました。そのため、最近は単発のお仕事はほとんど受けていません。

「やらないこと」を決めることは、自分で仕事のルールをつくることです。せっかく自分業をつくろうとしているのだから、どんな働き方をするのかは自分でデザインしていく。

「やったらいいこと」をやっているほど、人生は長くないのです。