この年を彩ったその他のヒット曲
●『哀愁のカサブランカ』郷ひろみ
●『い・け・な・いルージュマジック』忌野清志郎+坂本龍一
●『色つきの女でいてくれよ』ザ・タイガース
●『兄弟船』鳥羽一郎
●『シルエット・ロマンス』大橋純子
●『すみれ September Love』一風堂
●『セーラー服と機関銃』薬師丸ひろ子
●『赤道小町ドキッ』山下久美子
●『ハイティーン・ブギ』近藤真彦
●『ハロー・グッバイ』柏原よしえ
●『約束』渡辺徹
●『ラ・セゾン』アン・ルイス
●『リバーサイドホテル』井上陽水

1987年(昭和62年)
「バブル景気」のさなか、裕次郎旅立つ

「バブル景気」。金余りの世の中で企業は土地投機に、個人は株式投資に狂騒した。

 大都市を中心に起きた地価の異常高騰で、ビル用地を求めて土地を買いあさる「地上げ屋」と呼ばれる不動産業者や暴力団が現れた。新規上場したNTT株には「財テク」ブームに乗り遅れまいと買い注文が殺到。1株160万円という初値がついた。

 安田火災海上がゴッホの絵画「ひまわり」を約53億円で落札、高級乗用車や輸入車、海外ブランド品が飛ぶように売れ、1食1000円もする高級即席めんが登場した。「朝シャン」「花キン」「ボディコン」など、豊かさを謳歌するライフスタイルが流行語になった1年。

 流行歌の世界はそうした浮わついた世相と裏腹に、じっくりと聴かせる演歌が支持された。前年発売の瀬川瑛子の『命くれない』が大ヒット。デビュー20年目にして『紅白歌合戦』初出場。白組の対戦相手だった尾形大作はデビュー5年目で『無錫旅情』をヒットさせた。中国無錫市は観光客が増大、地元に歌碑も立った。

 美空ひばりは病から復帰、公開レコーディングした『みだれ髪』が発売翌週には「オリコン」のベスト10に顔を出す。そのひばりとともに、戦後の芸能界を引っ張った石原裕次郎が7月に死去。新曲として次に発売されることになっていた『北の旅人』を翌月に急遽リリースすると、またたく間に「オリコン」1位に輝いた。