昭和53(1978)年11月にデビューしたイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を筆頭にしたテクノ・ポップの隆盛もこの年が起点。この年最大のレコード売上200万枚を示したのは、もんた&ブラザーズ『ダンシング・オールナイト』だった。しゃがれ声と呼ぶにふさわしいボーカル、もんたよしのりの独特の声質とシャウトするインパクトで世代を超えて人気を集めた。
「ニューミュージック」系の新星たちはほかに、前年デビューの久保田早紀が『異邦人』、クリスタルキング『大都会』、シャネルズ(のちラッツ&スター)の『ランナウェイ』などがミリオンセラーを記録。
ほかにも長渕剛『順子』、海援隊の“金八先生”の主題歌『贈る言葉』、オフコースが『さよなら』、八神純子『パープルタウン』、谷村新司『昴』、アリス『秋止符』、五輪真弓『恋人よ』など現代まで歌われ続けるニューミュージックの名曲が次々ヒットした。
「カラオケブーム」の中からは、ロス・インディオス&シルヴィアの『別れても好きな人』、川中美幸の『ふたり酒』が生まれ、「レコード大賞」「歌謡大賞」は八代亜紀の『雨の慕情』の頭上に。五木ひろしの『ふたりの夜明け』との熾烈な戦いを制しての受賞で、その様子は「五八戦争」と呼ばれたものだった。
●『哀愁でいと』田原俊彦
●『Wake Up』財津和夫
●『大阪しぐれ』都はるみ
●『帰ってこいよ』松村和子
●『唇よ、熱く君を語れ』渡辺真知子
●『恋』松山千春
●『防人の詩』さだまさし
●『TOKIO』沢田研二
●『とまり木』小林幸子
●『ハッとして!Good』田原俊彦
●『春ラ!ラ!ラ!』石野真子
●『万里の河』チャゲ&飛鳥
●『風雪ながれ旅』北島三郎
●『不思議なピーチパイ』竹内まりや
●『ロックンロール・ウィドウ』山口百恵
●『私はピアノ』高田みづえ
1982年(昭和57年)
歌番組は家族共有の娯楽だった
東京赤坂のホテルニュージャパンが火災に見舞われ、福岡発の日航機が着陸目前の羽田沖に墜落という大惨事発生。原因は機長が「心身症」という国民がはじめて耳にする精神疾患による操縦ミスだった。時代や社会の変化に伴い、新たな病魔や問題が人間を蝕みつつあることを実感させた。