他社が午前0時に精算業務をするため、必ずオーナーが深夜に店にいなければならなかった時代から、ファミリーハートは翌朝10時を精算時間とし、オーナーが深夜は休めるよう考えてくれていた。
他社が、売れもしない総菜を10個単位で買い付けねばならないような、加盟店に負担の大きい発注システムだったころから、ファミリーハートは2個から買い付けられるシステムになっていた。
他社のトイレが、事務所を通らないと入れない形態の店舗だったころから、ファミリーハートではお客が自由に使えるような開かれたトイレ設計*だった。
ファミリーハートは日本人に寄り添っている、とずっとそう思ってきた。先走ることもなく、遅れすぎもせず、今の日本を体現しているのはファミリーハートだと思っている。
私はやっぱりファミリーハートを愛している。
1998年、伊藤忠商事が西友ストアーからファミリーマート株式の約30%を取得して筆頭株主に。
他店同士の交流もあまり良い顔をされなかった。明らかに徒党を組んで本部に逆らうのを警戒している様子が感じられた。当時は、加盟店を奴隷化しようとしているのではないかと本気で危うんだものだ。
2010年、am/pmを吸収合併。その後、am/pmの店舗は、順次ファミリーマート店舗への転換、閉鎖が進められた。
私たち加盟店の窓口は基本的にSVだ。SVの上にエリアマネージャー、そして本部がある。本部に直接連絡することはまずない。あるとき、本部から送られてきた「緊急電話案内表」(事務所の電話の横の壁に貼り出すことになっている)を見ていて偶然、「加盟店相談窓口」の存在を知った。私の知るかぎり、昔はこんな「窓口」などなかった。以前、柄の悪いSVが入店するなりバイトの子に「てめえら、くっちゃべってんじゃねえ!」と怒鳴りつけたときもエリアマネージャーへの報告で解決した。ここ数年で設けられた「相談窓口」も加盟店を大切にしようというファミリーハートの姿勢なのだろう。
その年の方針発表、新機種や新商品、陳列方法の案内などが、各ブースに分かれて展示・説明される。関東地方では東京ビックサイトで年2回開催。新商品試食コーナーもあり、パートやバイト、さらにその子どもまで参加可能なので、息子が幼いころはお楽しみイベントのひとつでもあった。
たとえば棚を引き出し式にしたことで、新しく届いた商品を奥に詰めるとき、今並んでいる商品をどけて戻すという作業の手間がなくなった。髪の色は自由になり、接客用語は簡略化された。またそれまでレジで会計の最後に押していた「客層ボタン」(これにより顧客データを本部が把握する)もなくなった。
60代・坊主頭で、ミニスカートにハイヒールを履いた男性の常連さんがいた。彼(彼女?)は買い物前、よく女性用トイレに入る。ある日、匿名の女性から店に電話が入った。「なぜあんな人に女性用トイレ使わせるの。注意しなさいよ」。夫は「私たちは強制できませんので、お困りなら警察にご相談ください」とお断りした。