寝酒をやめて肌荒れが改善したおじさまが、さらなる一歩としてスキンケアに気を配り出したら素敵だと思う。
老化を加速させてしまう
「糖化」はなぜ進む?
だがしかし、肌への長期的な影響を考えると、寝酒をやめることだけでなく、やはり飲酒量にも気を付けなければならない。
「お酒は、お肌に直接的な悪影響も及ぼします。お酒を飲むと、アルコールは胃や小腸で吸収され、主に肝臓で分解されます。そして、アルコールの代謝により生成される『アセトアルデヒド』が問題なのです。通常、アセトアルデヒドはさらに分解され、無害な酢酸になるのですが、お酒を飲み過ぎるとアセトアルデヒドの分解が追い付かず、体に長い時間とどまってしまいます。これにより、お肌にさまざまな悪影響が生じるのです」(慶田氏)
アルコールの代謝能力には個人差があり、酒を飲むとすぐ顔が赤くなる人は、アセトアルデヒドの分解が遅い。そのため、いわゆる下戸のほうが、肌への影響は大きいと言える。
それでは、アセトアルデヒドは肌にどのようにして影響を与えるのだろうか。慶田氏によると、体のコゲともいわれる「糖化」が関わっているのだという。
「糖化は、体内の余分な糖がたんぱく質と結びつく現象のことです。この糖化が進むと、AGEs(終末糖化産物)という物質が生成されます。AGEsは肌の弾力を奪い、シミ、しわ、くすみなどを引き起こします。実はアルコールの分解過程で生じるアセトアルデヒドもまた、たんぱく質と結合し、アセトアルデヒド由来のAGEsを生成します。つまり、お酒をたくさん飲んで体内にアセトアルデヒドが長く存在すると、糖化が進み、老化が加速してしまうのです」(慶田氏)
女性誌の美容特集などで老化を加速させる主因とまでいわれる「糖化」というキーワード。これが、アセトアルデヒドと関係があるのだ(涙)。実際に飲む頻度が高い人ほどAGEsが体内に多く蓄積しているという研究もある(*注1)。