「そこに誰がいるか、組織がどんなふうに運営されているか、お互いにどんな話し方でコミュニケーションをとっているか。こういったことは、僕らのクリエイティビティにすごく大きな影響を与える」

 コーアによれば、仕事の根幹には「連帯」がある。

 一連の仕事のプロセスには色んな要素が複雑に絡み合っていて、どのフェーズにおいても、他人との「協力関係」が欠かせない。

 建物の正面1つを設計・建設する場合も、デジタルチーム、建築家、エンジニア、ガラス専門業者など、多様なパートナーやチームとデータをやり取りしながら仕事を進めなければいけない。

 他人との「協力関係」が欠かせないのは、建築業界のみならず、どんな業種でも同じではないだろうか。共同作業をするとき、良いコミュニケーションがとれていないと、細かい調整をしながらうまく共同作業を進めることができない。

失敗を恐れず安心して
挑戦できる環境が必要

 そして、良いコミュニケーションをとるためには、お互いに安心して話せる環境が欠かせない。コーアはこう説明する。

「きちんと仕事を進めるためには『対話』をして不明点をなくす必要がある。だから、職場には、みんなが安心して話せる環境がなくちゃいけない」

 コーアによれば、仕事に関わるメンバー全員が「自分にも居場所がある」と感じ、「自分の意見に耳を傾けてもらえている」と感じられなければいけない。

 GXNの職場には、経験も年齢も関係なく、お互いの意見を聴くカルチャーがある。インターン学生のアイデアを国際的な大規模プロジェクトに採用することもある。スタッフの大半は20代で、入社してすぐに責任ある仕事を担うようになる。

 コーアは、スタッフ全員が伸び伸びと仕事ができることの重要性を強調する。

「職場は失敗を気にする場であってはいけない。それぞれのスタッフが、模索して、理解して、学んでいける場所でなきゃいけない。何が起こっても、スタッフが安心感を持って自由に動けるというのは、ものすごく大事なことなんだ」