「若いスタッフに大きな仕事を任せなければ、彼らの経験値が上がることはない。それでは永久に『上』を超えられないし、会社も成長しない。
若いスタッフが大きな仕事を担って成長してくれれば、僕もラクになるから、それがいい。
でも、任せるといっても、うまくいかないことがあったら、若いスタッフの責任にする、というのは違う。うまくいかなかったら、みんなで問題解決にあたる。そうすれば、それはみんなの『学び』になる」
デンマークの職場には、年齢や経験にかかわらず、本人に意思があれば、大きな仕事も任せていくカルチャーがある。おかげで、若くてもどんどん経験を積んでスキルアップしていけるのだ。
そして、それは、何かあればいつでも相談できて、何かトラブルが起これば一緒に問題解決にあたってくれる上司や会社のサポート体制に支えられている。
映画監督キャスパーも、自分が映画監督として独立できたのは、若くして色んな仕事に挑戦させてもらえる機会があったからだと振り返る。
キャスパーは専門学校に1年だけ通った後、知り合いのツテで映画会社で新人スタッフとして働き始め、映画制作のプロセスを学んでいった。職場にはみんなが発言でき、その中で一番良いアイデアが採用されるカルチャーがあった。
「当時、僕は『1番下』で、若くて未経験だった。でも、職場ではみんなが僕の意見にも耳を傾けてくれた。自分の考えが映画に反映されるのは面白かったし、それも自信になって、自分でも映画を撮ってみようと思えたんだと思うよ」
こうして、キャスパーは映画会社で働きながら、自分の映画制作も同時並行で進めて独立し、その後、仲間と映画会社を共同設立した。
現在、キャスパーの映画会社では、インターン学生や新人スタッフも、上下関係など関係なくフラットに話しながら作業している。
優秀なリーダーは
「聞く力」が優れている
管理職の任務は、メンバーの管理ではなく、メンバーが持っている能力やアイデアを最大限に引き出すことである。