「プレーヤーとしての専門性がなくなると、自分の存在価値がなくなってしまうのではないか」
「メンバーが失敗して目標を達成できないと、自分の上司からの評価まで下がってしまう」
自覚があるかはさておき、このような「手を動かせなくなる不安」や「自分の評価が他者の働きによって決まる不安」からプレーヤーを脱却できないケースは少なくありません。
多くのプレーイングマネジャーは、自身の価値や存在承認を「現場での専門性」や「個人の成果」に強く結びつけてしまっています。これは言い方を変えると、「仕事や会社に依存している状態」ともいえるでしょう。
「この分野では自分が一番詳しい」「自分にしかできない仕事がある」という状態から自信や誇りを感じられる気持ちはわかりますが、それが行き過ぎると自己と仕事の境界線が曖昧になってしまいます。
その結果、「この仕事(や会社)がなくなったら、自分の価値はなくなってしまう」と、まるで自身のアイデンティティーの一部を失うかのような恐怖心が生まれてしまうのです。こんな状態では、マネジャーとして一歩引いて「人を通じて事を成す」ことに向き合うのは難しいでしょう。
「任せられるマネジャー」になるために
やるべき“たった1つのこと”
前述した恐怖心を解消する唯一の処方箋は、「自己を確立すること」です。
「仮に特定の業務や会社自体から離れても、自分の価値は失われない」「極論、明日クビになっても、自分は存在していいのだ」というマインドセットを持てるかどうかが、プレーヤーとしての業務を手放し、マネジャーとしての役割を果たしていくことにつながります。
しかし、ほぼ無意識に生まれてしまう内面的な思考に変革を起こすのは容易ではありません。そして、多くの企業がマインドセットの転換のために何を支援すればよいのか、困っているのが現状です。
私たちは管理職コーチによるコーチングで課題解決をサポートしていますが、自己を確立させるマインドセットを養うには、徹底的に自己理解を進めることに尽きます。