・食べ物
・強い感覚刺激や鮮烈な出来事
・セックス・インターネットやスマホ
・コカインやアンフェタミンなどのドラッグ
食べ物の依存症、過食、セックス依存、インターネットやゲーム依存、薬物依存、過激なエクストリームスポーツにのめりこむ――どれもADHDの人に多いことがわかっている。報酬系があまり活性化されないからだ。なにしろ脳は素早くドーパミンのごほうびをもらいたくて刺激を求めるのだから。
ドーパミンを求めて仕事にも
セックスにも没頭する
ドラッグやインターネット、セックスへの依存や過食がADHDの人に多いのは、おそらく活性化しづらい報酬系を補おうとしているせいだ。とはいえADHDあるいはADHDの傾向の強い人全員が薬物中毒になるとかパソコンの前から動けないというわけではない。まったく別の形で表れることもある。
例えば仕事中毒だ。仕事をしている最中が一番楽しい。周りの世界がどんどん進んでいき、次々と仕事に手をつければわくわくするし刺激ももらえる。気分が最高に良いのは仕事をやり遂げた時ではなく、やっている最中あるいは始める時ということもある。
別の例としてはクリエイティブな面が表に出る人だ。何かを生み出したいという意欲が芸術レベルに達することもある。
こういった特徴は通常、歳を取ったり状況が変わったりしても消えることはない。いつも落ち着きなく熱心に仕事をしていた起業家が、成功を収めてやっとそれまでできなかったことをしようとするのを見てきた。好きなだけ読書をしたり旅行をしたり――しかし半年もすると精神状態が悪くなり、心が空っぽで疲労だけが残る。銀行口座が満たされたからといって、人生でずっと持っていた意欲が消えるわけではないようだ。
アルコールやセックス、インターネットへの依存、あるいは仕事中毒やクリエイティブなことをしたいという強い意欲はどれも同じメカニズムからきていると思われる。世界をわくわくする場所だと感じる能力に欠けたメカニズムからだ。
常に動いていないと気がすまないのは「今」が退屈に思えるせいで、ハーバード大学の精神医学研究者ジョン・J・レイティはその状態を「けっして手の届かない痒み」と表現している。