活性化しづらい報酬系が及ぼす影響は当然ながら様々だ。じっとしていられない性質を仕事やスポーツ、芸術に向けられた人は大きな成功を収めるだろう。

 しかしアルコールや薬物、ゲームに向けてしまうと問題だ。ドーパミンが少な過ぎる人がドーパミンを得るにはこのように良い方法と悪い方法がある。

インターネットに依存した我々は
もうスマホを手放せない

 今度バスや電車に乗ったら、スマホを見ていない人が何人いるか数えてみてほしい。面白いので私はよくやるが、1車両にせいぜい1、2人だ。最近ではほぼ全員がスマホを見つめている。

 アメリカの神経科学者で作家のデイヴィッド・J・リンデンは「インターネットは人を依存させるためにつくられた」と警鐘を鳴らし、その様子を犬の訓練に例えている。犬におすわりを教えるために肉の塊を与えると、犬の脳には大量のドーパミンが放出される。最高に良い気分になるので、翌日にまた「おすわり!」と言うと従うだろう。

 しかしその後二度と肉をもらえなければ効果は何日くらいで消えるだろうか。2カ月後には完全に忘れてしまい、「おすわり」の指示を無視する可能性が高いだろう。

 では肉の塊を何百もの小さなかけらに分けて、犬がおすわりをするたびに与えればどうなるだろうか。犬は大喜びはしないかもしれないが、毎回小さなドーパミンのごほうびをもらえる。

 おすわりを教え込みたいなら2つ目の方法の方がうまくいく。一度に肉の塊をすべてあげてしまうよりも、行動(おすわり)と小さな報酬(肉のかけら)を何度も関連づける方が効果的なのだ。肉を小さなかけらに分けて指示を繰り返すことで犬はあなたの指示に従うようになり、よく訓練された犬になる。

SNSの“いいね!”が
脳に与える強すぎる影響

 インターネットもそれとまったく同じ仕組みだ――とリンデンは主張する。