科学万能の時代にあっても
人は「13」をなんとなく避ける

 効果があることもあれば、ないこともあるでしょう。しかし、万が一にでも効果があるかもしれないのだから、やって損はありません。

 縁起がいいことを積み重ねるのも大切ですが、悪運を避けることも多くの文化で重視されています。

 実際、悪運を避ける儀式や慣習は数え切れないほどあります。

 たとえば、13という数字は縁起が悪いので建物の13階は飛ばす、はしごの下を歩かない、といったことです。もしかしたらあなたにも、悪運を避けるための自分だけの決まりがあるかもしれません。

 いずれにせよ、幸運のお守りや迷信が意味するのは、私たち人間は運をコントロールしようとしているということです。運はコントロールできないように見えますが、それでも努力はしている。

 昔であれば、こういった運の働きは、運命や邪悪な霊の仕業だと考えられていました。そして現代に生きる私たちも、理由もなく起こることや、偶発的に起こることを、昔の人と同じように恐れています。そしてさまざまな手段を使って、そのような偶然のカオスを生み出す神様を、なんとかなだめようとしている。

 運についてはっきり断言できることは1つしかありません。それは、誰もが運を味方につけたいと思っている、ということです。

複雑でわからないことを
人間はコントロールしたい

 私たち人類は、歴史を通じて、世界や宇宙に関する知識を深めてきました。それでもなお、世の中は複雑でわからないことだらけです。

 私たちにできるのは、過去の経験から推測したり、現実のごく一部を理解したりすることくらいでしょう。たとえ世界一のエンジニアでもしくみが理解できず、魔法としか思えないような現象は、まだまだ存在するのです。

 すべてのことには原因と結果があると、頭ではわかっています。しかしだからといって、あらゆる現象の因果関係がわかるわけではありません。

 むしろ、「なぜ物事がこうなっているか」については、思い込みで解釈することのほうがはるかに多いのです。自然界の大いなる働きを前にしたとき、これが私たち人間の自然な反応です。