自分の中の「大企業に就職したい」という気持ちを親に外化してしまう。

 不満な人ほど相手を悪く解釈する。お腹の空いている時には相手を悪く思う。偏見を持つ。いない民族を憎む。

 自分の適性に合っていない職業に就いている人がいる。しかし、その職業が自分の適性に合っていないと気がついていない。そんな時になぜか色々なことに不満になる。周囲の人の態度に不満になる。また、人は自分が満足していなければ、なかなか人に優しくなれない。このことを考えても、外化という心理過程は理解できるのではなかろうか。

「ぜんぶ自分のせいなのに…」SNSで誹謗中傷する人の“可哀想な頭の中”【社会学者が分析】『人はどこで人生を間違えるのか』(加藤諦三、幻冬舎新書)

 自分に満足している人は、それほど人を悪くは言わないし、社会に対してそれほど不満を言わない。「社会が悪い、政治が悪い、アメリカが悪い」と騒がない。自分に不満だからこのように騒いでいる人たちは、違った社会になってもまた「社会が悪い、政治が悪い、アメリカが悪い」と騒ぐ。そのように騒ぐことが自分に対する不満の外化だからである。

 今の日本の若者が、諸外国の若者に比べて飛び抜けて、社会に対して、地域に対して、職場に対して、家庭に対して、学校に対して不満なのは、日本の若者が自分に対して不満だからである。

 自分が自分自身を責めているのに、他人が自分を責めていると思う。

 自分が自分自身を憎んでいるのに、他人が自分を憎んでいると思う。