絡み合うさまざまな問題を
丁寧に切り分けて対応する
一方で、上司に特に問題がなく、他の部下とは良好な関係を築けているにもかかわらず、特定の部下とうまくいかないというケースもあります。この場合は、部下側に問題があるかもしれません。どちらが悪いかを一方的に決めつけるのではなく、双方の話を丁寧に聞いた上で、必要であれば異動などの対処をすることが求められます。
いずれにしても、職場の人間関係を理由に人が辞めるというのは、本人の性格や適性、上司の資質、あるいは周囲の社員との関係など、さまざまな要因が絡み合っています。ですから、経営者は原因を丁寧に切り分け、的確に対応する力が求められるのです。
そのためには、普段から社員の声に耳を傾けることが大切です。定期的に面談を行ったり、食事を共にしたりすることで、気軽に悩みを打ち明けてもらえる関係性をつくっておく必要があります。そうした積み重ねが、人間関係のトラブルを未然に防ぐ土壌になります。
それでも人間関係のストレスをなくすことはできません。ここからは「苦手な人と付き合う」上で役立つ考え方についてお話したいと思います。
苦手な人と仕事をするとき
心がけておきたいこと
私はコンサルタントという仕事柄、日々多くの人と会います。中には、「ちょっと苦手だな」と思う人もいます。そういうときに参考にしているのが、論語にある「敬してこれを遠ざく」という教えです。
これは、相手を尊重し礼儀正しく接しながらも、必要以上に距離を縮めずに付き合うという考え方です。無視したり敵対したりするのではなく、礼をもって接しながら適切な距離感を保つ。それだけで随分と人間関係のストレスは減るものです。
とはいえ、誰もがそれを実践できるかというと難しい部分もあります。だからこそ、組織としての配慮が必要になるのです。
最後に強調したいのが、採用面接の重要性です。どんなに後から手を尽くしても、最初の採用の段階でミスマッチがあれば、関係構築は難しくなります。