1mLあたりの単価に衝撃!大きい方が損だった
計算には、調査時点での消費税8%込みの税込価格を用いた。レギュラーサイズの本体価格は130円であり、税込価格は140.4円となる。ラージサイズの本体価格は232円であり、税込価格は250.56円となる。
この価格を、先ほど算出したコーヒーの正味量で割ることで、1mLあたりの単価を求めることができる。
レギュラーサイズの1mLあたりの単価は、140.4円÷97mL≒1.447円/mLとなる。
ラージサイズの1mLあたりの単価は、250.56円÷149mL≒1.681円/mLとなる。計算結果が示す事実は明確だ。
レギュラーサイズの単価が約1.45円/mLであるのに対し、ラージサイズの単価は約1.68円/mLと、明らかに割高になっている。具体的には、ラージサイズはレギュラーサイズに比べて、1mLあたり約16%も価格が高い。
これは、消費者が抱くであろう「大きいサイズの方がお得」という一般的な感覚とは全く逆の結果である。
セブンカフェのアイスコーヒーを注文する際、量を多く飲みたいという理由だけでラージサイズを選ぶ行為は、経済的な観点から見ると損な選択をしていることになる。この価格設定は、極めて不可解であり、消費者の直感を裏切るものと言えるだろう。
一般的に、「数量割引」と呼ばれる価格戦略は、多くの小売業や飲食業で採用されている。消費者に大きなサイズを選んでもらうことで客単価を上げるため、大きなサイズほど単位あたりの価格を割安に設定する手法である。
例えば、マクドナルドのフライドポテトは、小サイズよりも中サイズ、中サイズよりも大サイズの方が10gあたりの価格は安くなる。スターバックスのコーヒーも同様に、小さいサイズより中くらいのサイズ、中くらいのサイズより大きいサイズの方が、量あたりの価格は低く設定されている。
この方法は消費者に経済的な合理性を感じさせ、より大きなサイズの購入を促すための常套(じょうとう)手段である。
それにもかかわらず、セブン‐イレブンのアイスコーヒーの価格設定は、市場の常識から完全に逸脱している。大きいサイズを選んだ方が、単位あたりの価格が高くなるという逆転現象は、消費者の購買行動における心理的な前提を覆すものだ。