カタリーナ「どうかしら?理由の内容で、取得の可否を判断するのは本来NGよ。たとえそれが旅行でも推し活でも、正当な理由。時季変更が認められるのは、“誰がどんな理由か”ではなく、“その日その人が休むと業務がどれだけ影響を受けるか”ということだから」

真紀「じゃあ、他の人が優先されるのはおかしいですよね?」

カタリーナ「ええ。これはあくまでも仮定の話だけれど、もしかしたら、別の2人には休みを取らせたい理由があるのかも」

真紀「どういうことですか?」

社員に休みを取らせないと、会社が罰せられる

カタリーナ「労働基準法では、年10日以上の年休が付与される人に対して、会社は年に5日を必ず取得させる義務があるの。これを怠ると、使用者に30万円以下の罰金が科されることもあるのよ」

真紀「えっ……休ませないと、会社が罰せられるんですか?」

カタリーナ「そうよ。もし、あなた以外の2人が5日未取得だったとしたら、どうしても休んでもらわなきゃならない。でも、3人同時に休ませるのは厳しい……という板挟みだった可能性もあるかも」

真紀「たしかに、私はこれまでも推し活で休みを取っていたけれど、辻さんも宮田さんも休みをあまり取っていなかったような……」

カタリーナ「実際のところはわからないけれど、あなたの上司のように中間管理職の立場になると、上からも下からも色々と言われて結構大変なのよね」

真紀「でも、休みが取れないとホントに困ります!」

カタリーナ「却下されたわけではないから、明日もう一度話してみたら?もしかしたら、他の2人に日程の打診や代替要員の調整をしてくれているかもしれないし」

真紀「そうだといいんですが……」

カタリーナ「労働者が請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合、『6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金』も科されているの。だから、そうむやみに突っぱねることはないと思うわ」