そもそも、有休取得のために理由を申告する義務はないのでは?
真紀「ちなみに、有給休暇の取得でいちいち理由を申告する義務はないですよね?」
カタリーナ「ええ。ただ、今回のように他の人とたまたま日程が重なってフォローできる人もいないような場合に、業務調整の観点から理由を確認することはあり得ることよ。取得理由で差別的な判断をしてはダメだけれど、調整の参考という目的であれば違法とは言えないわ」
真紀「私だけ差別されてるんじゃないかとモヤモヤしていましたが、そういうわけでもなさそうですね」
後日、カタリーナのもとに、真紀から韓国のコンサートホールで撮影された推し活の画像がメールで送られてきた。
●使用者は、年10日以上付与している労働者に対して、年次有給休暇を付与した日から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければならない。すでに5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできない。
●使用者は年次有給休暇を労働者が請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる(労働基準法第39条5項)。
●労働者ごとに年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合、「30万円以下の罰金」が定められている(労働基準法第120条)。
●使用者が労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の罰則が定められている(労働基準法第119条)。
※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。
(社会保険労務士 佐佐木由美子)