豆田「うーん……実は、辻さんと宮田さんもその週に年休を取りたいと言っていてね。業務がかなり厳しくなるかもしれないんだよ」

真紀「でも、もう旅行の予約もしてあって……正直、変更やキャンセルは難しいです」

豆田「……そうか、ちょっと時間をくれる?」

真紀(え?有給休暇は自由に取れるはずじゃなかったの?なんで私だけ……)

 モヤモヤした気持ちのまま席に戻った真紀。このままだとまずい。そのとき、ふと友人が教えてくれた社労士・カタリーナを思い出した。オンラインで様々な労務相談に乗っているという話だったので、もしかしたら、何かよい打開策を授けてくれるかもしれない。早速、連絡を取ってみることにした。

有休は、取得理由で却下されることもある?

カタリーナ

カタリーナ「こんにちは、社労士のカタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」

真紀「実は、年次有給休暇の申請をしたら、上司から理由を聞かれたうえに、他の人と被ってるから考えさせてって……。でも、旅行の予約はもう動かせないんです。断られることってあるんでしょうか?」

 真紀は、上司とのやり取りについて、簡単にカタリーナに説明した。

カタリーナ「年次有給休暇は、労働者の権利よ。原則として会社は労働者が請求する時季に与えなければならないわ。でも、例外もあるの」

真紀「例外……って?」

カタリーナ「会社には“事業の正常な運営を妨げる場合”に限って、時季の変更を求めることができるの。これは『時季変更権』と言われるものね。たとえば、同じチームの3人が同じ日に抜けたら、納期や顧客対応が止まる――そういう深刻な支障がある場合には、別の日にしてもらうことが認められているの」

真紀「てっきり、休む理由が推し活だと言ったから、上司に断られたのかと思いました」