明文化されている
ルールはない

営業も部長も課長もいない<br />売上目標や個人予算なんてクソ食らえ<br />【企業インタビュー:チームラボ編】猪子寿之(いのこ・としゆき)
チームラボ代表取締役社長。1977年、徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。大学では確率・統計モデルを、大学院では自然言語処理とアートを研究。チームラボは、プログラマ・エンジニア、数学者、建築家、グラフィックデザイナー、CGアニメーター、編集者など、情報社会の様々なものづくりのスペシャリストから構成されている。

猪子 例えば採用にしても、完全に自由な権限を与えられているわけではなくて、なんとなく公になっていて、なんとなく場合によっては誰かに相談しないといけない、みたいな。ものすごく不明瞭なんです(笑)。ルールはあまりないけれど、だから自由というわけではなく不明瞭。なぜなら、刻々と状況は変わるから。すべてが許されるわけでもないし、権限があるわけでもない。何してもいいんだけど、何しても許されるわけではない、みたいな(笑)

本田 微妙な空気を読めるという能力が必要になる。こういうものが自然に共有されているということが重要、ということかもしれませんね。

猪子 明文化されているルールはありません。出勤時間が決まっているくらい。でも、自由なわけではない。非言語化されているルールが、おそらく他の会社より多いと思います。仕事のプロセスは厳しく管理されています。メールのフォルダ分けまで共通化しようというくらい(笑)。会議では議事録が必須で、パソコンを持って来なかったら叱られます(笑)

本田 何もかも、これはダメ、あれはダメ、と決めてしまうのは、簡単なことですが、それによって、自由な発想ができる空気が損なわれてしまうのかもしれません。やがて、自分で何も考えずに、ルールだけで物事を判断してしまうような組織になってしまう。これはこれでラク、ともいえますが、これではクリエイティブな発想など出てこない。
 実は私が主宰しているトライアスロンチームにもほとんどルールがありません。ルールを作っていない。ルールが明文化されていたり、上下関係に厳しいチームがあったりしますが、それもない。こういうことをしてはいけない、こういうときはみんなが協力して率先してやろう、というような明文化されていない雰囲気があります。