スタンフォード大学では、通称SPRIE(Stanford Program on Regions of Innovation and Entrepreneurshipの略)と呼ばれるセミナーが開催されている。先月、韓国の教授が「韓国の人材開発」について講演をするというので出席した。講師は建国大学経営学部のチュン(Chung)教授だった。

 チュン教授は韓国が1960年以降目覚しい成長を遂げてきたことを数字を挙げて説明した。

出典:IMF

 GDPは日本の1/5ほどの規模である。だが、韓国の人口は日本の4割程度であるので、人口比に引きなおすと日本のGDPの半分ほどの規模になる。GDPの伸び率は日本をはるかに凌駕している。1991年から2011年の20年間の伸び率を同じIMF資料で見てみると、韓国は5.3倍も増えたのに対し、日本は3%しか伸びていない。

 韓国が国際競争力を持っている産業は、家電、半導体にとどまらず、自動車、造船、鉄鋼と幅広い。こうした産業を育成するために、韓国政府は60年代から専門官庁や研究機関を創設したり、研究開発(R&D)プログラムを実施したりして、科学技術の振興に努めてきた。90年代に入ると産学連携が推奨され、韓国科学技術院(KAIST)が仲介する形で、大学での研究成果を産業界に還元する努力がなされた。

出典:OECD(2011年)

 韓国のR&D支出は、年間450億ドル(2011年)にのぼる。これは世界第6位の支出額である(ちなみに日本は米国に次いで世界第2位)。だがGDPに対する比率で国際比較してみると、韓国は日本、米国を抜いて第1位になる。韓国が科学技術の振興に並々ならぬ努力をしていることを示している。