『中小企業白書 2012年版』には、起業・転業を促進するための公的金融機関による次のような融資制度が掲載されています。

(1)新創業融資制度…新たに事業を開始する人に対して無担保・無保証人で日本公庫が融資する制度。
(2)女性、若者、シニア起業家支援資金…女性や30歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち開業して5年以内の人を対象にした、日本公庫による優遇金利適用の融資制度。
(3)新事業育成資金(グローバル展開志向創業支援関連)…高い成長性が見込まれる新たな事業を行い、海外を含めたマーケティングを踏まえた自社製品開発や国内外への販路開拓等を行う中小企業に向け、日本公庫が低利で融資する制度。
(4)創業者向け保証…民間金融機関による融資を後押しするため、信用保証協会でこれから創業する人などに向けた保証制度。
(5)ファンド出資事業(起業支援ファンドほか)…民間投資会社が運営する投資ファンドについて中小機構が出資(ファンド総額の半分以内)を行う。

 中小企業庁は、女性や若者の創業を促すために、起業や第二創業を行う個人、中小企業を対象として2013年3月から地域需要創造型等起業・創業促進事業(創業補助金)という小口助成制度をスタートしています。

 地域の雇用などを支える「地域需要創造型起業・創業」は100万~200万円、中小企業の後継者が業態転換や新事業・新分野に進出する「第二創業」は100万~500万円、海外市場の獲得を念頭に置いた「海外需要獲得型起業・創業」は100万~700万円で、それぞれ対象経費の3分の2以内を補助するというものです。

 2013年秋頃に第3回の公募を予定しており、その後は未定とのことですが、目的通りの制度に育ち、長期にわたって活用されるように期待したいと思います。

銀行借入の前に知っておくべきこと

 銀行借入となれば、最低限次のようなことを検討する必要があります。

(1)事業計画を作って提出し、いつまでに利益を出して、そのなかからいつまでに返済するかを説明できるか。利益が出て現金が残る計画でなければ、返済はできない。
(2)元金を返済するだけでなく利息を支払うことになるが、それでも利益が出るか。金利が上がったらどうなるか。
(3)借りるときには、その金額に見合う担保があるかどうか検討し、個人財産をもって返済を保証する(保証書に押印する)ということになるが、その覚悟はあるか。