「自分ごと」だから人は動ける
あらためて鉱山労働の実情について調べてみると、鉱山労働で苦しんでいる人は、インドだけではなくアフリカや中南米など、鉱山のある主に発展途上国の地域にたくさんいることがわかりました。子どもが働いていたり、不当な給与しかもらえなかったり、水銀で汚染されている地域で働くことで健康上の被害が出ていたり。幸せの象徴の裏でだれかの不幸が生成されている状況。
けれど、調べをすすめてみると、そういう人たちに働きかけている人たちが驚くほど少なく、少なくとも日本やアジアの地域には皆無だということもわかってきました。
つまり、自分の目で、実際に鉱山の状況を目の当たりにしている人間はレアなんじゃないか、と思ったのです。途上国に行く人は多くいるかもしれないけれど、その中でも鉱山に行く人はそんなに多くはない。私はたまたまそこに行き着いた。そして、村に入り、長老と話し、本当の家族のように仲良くなって、娘のように扱ってもらった。
そんな私が、日常に戻ってそのままふつうの生活を続けていくのは違うんじゃないか、と。鉱山を「実感」しているから、2ヵ月間家族のように過ごして貧困の状況を「実感」しているから、強烈な当事者意識を持つことができる。
その強烈な当事者意識を持っている鉱山がひとつの私のコアだ、と確信しました。それなら、私は鉱山に関わることでやっていきたい、と思う気持ちがうまれてきたのです。
「鉱山でアクションを起こしていこう」
私はそう決めました。
(次回は3月27日公開です)
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